10月18日
私たちが習っているお茶の先生の姉妹弟子の先生から、正午のお茶事に招いていただきました。
と言っても、お稽古の一環です。 ですから、所作は、その都度先生から指示いただけるので安心です。
朝から私の持っている唯一の羽織袴を、妹に着せてもらいました。

ハイエースで皆と先生を迎えに行きましたが、着慣れないものを着て運転は大変です。
雪駄は滑って運転しにくいので、足袋の上から靴下を履いて、靴を履いて運転です。
袴をはくと、背中に袴がのる様に帯を結ぶので、背中が膨れてシートにもたれられません。
亭主の姉妹先生の家に着いて、まずは、控えの間に行きます。
煙草盆が置いてあり、これはくつろいでくださいの合図です。ここで、白湯を提してもらいます。
これは、旅の疲れを取ってくださいという意味だそうです。
支度を整えて

掛け軸(色紙)を拝見します。
ここに本日のテーマのさわりを感じます。
この後、ぞうりを履いて庭に出るのですが、

自分が履いた後、次の人の為にぞうりを並べます。

庭で、亭主を待ちます。
亭主が現れ、手水鉢を清めて、正客の先生とご挨拶。
この時初めて亭主と対面です。
手水鉢で、手と口を清めます。

この時の作法は、神社にお参りする時とよく似ています。
扇子を前において、礼をしてにじって茶室に入ります。
床の間の掛け字と釜を拝見します。
この掛け字が、本日のテーマです。
そのことに思いを馳せながら、といっても私たちの学力では、読めないので、後ほど正客が亭主に聞かれるときに、その説明をしっかり聞いておくようにします。
亭主がご挨拶に来られて、客一人一人にご挨拶されます。
初めての客でも、それぞれの客のことをあらかじめリサーチされて、これも大変なことだと思います。
まず出されるのが、そ飯

ニ汁一飯です。

これが本当の 懐石 です。
旅の僧が、空腹のときに、暖めた石を懐に入れて、空腹を癒したといわれる語源の懐石です。
ここに出ている魚は、お酒が出るまで食べてはいけません。
(酒の肴となるようにだそうです。)
しかし、ここに亭主の真心がこもっていて、絶品の料理にしてあります。
この後

焼き物

煮物

と料理が出てきます。
ご飯も、最初は、本当に炊き立てのもの、次に少し蒸らしたもの、最後に、しっかり蒸らしたものの順に出されます。
盛り上がってきた頃 海のものと、山のもの

が出てきて、亭主が皆と杯を交わしていきます。

(私は、運転手なので形式のみとしてもらいました。)

最後に香の物と、ご飯のおこげと、お白湯が出てきて、これらを手順よく食べることで、食器をきれいにします。
最後にティッシュペーパーなどで、拭き清めて、亭主にお返しします。
懐石といっても、華美にならないようにということで、とっても美味しい料理です。
それもその筈、亭主の旦那様が
道場六三郎氏の兄弟弟子ということで、今回私達のためだけに、腕を振るっていただきました。
なんと言う贅沢なんでしょう。
機会が有ったので灰形も拝見できました。

とてもきれいな景色が作られています。


ふちだか にはいったお菓子を順に回して

お菓子を頂
庭で茶室に入る合図の銅鑼の音を待ちます。

秋の訪れの前ぶれのように紅葉し始めた葉が数枚
飛び石の上でかがんで準備完了の銅鑼の音を聞いて、茶室に再入場して

床の間の掛け軸に変わって、いけばなと、釜を拝見します。
亭主が入場して、本日のメインイベント
濃茶です。

正客と次客は、古高麗の茶碗で
三客の私から、お詰までは、織部の沓形の茶碗で呈して頂きました。
香もよく、とっても甘味があるお茶でとても美味しくいただいたのですが、それよりも増して、
織部の沓形の茶碗の美しいこと!!
濃茶の点前は、神聖なことなので、あまり写真も撮れなくて、写真は有りませんが、この目にしっかり焼き付けてきました。
この後は、薄茶(おうす)です。

お菓子も、干菓子です。
とってもかわいらしい、きれいなお菓子が並んでいて、どれにするか迷ってしまいます。

薄茶は、濃茶よりくだけた雰囲気なので、少し気楽です。
こうして、11時半より4時半までの5時間、日常とはまったくの別世界を楽しんできました。
前回の感動をもう一度と心待ちにしていたのですが、それ以上の感動を今回も味わせて頂きました。
本当に感謝、感激です。
当日はもちろんのこと、道具の選定から、準備、料理の内容や、仕込み そして後片付け
道具が非常に良い物なので後片付けも大変だと思います。
亭主のご苦労が偲ばれます。
しかし、これも楽しみでして頂いていると思い、次回又呼んで頂ける時を心待ちにしています。